フリーランスの始め方【基礎知識から失敗しないための方法までを徹底解説】
インターネットやクラウドサービスの発展により、ウェブ上で仕事の受発注が容易にできるようになり、フリーランスは仕事を獲得しやすくなってきました。時間や場所にとらわれない自由な働き方ができる一方で、自分でこなす仕事上の全ての責任は個人で背負わなくてはいけないため、しっかりとした知識をつける必要があります。
この記事では、フリーランスとして知っておきたい基礎知識を紹介しております。
- フリーランスとしての基礎知識
- フリーランスのメリット・デメリット
- フリーランスになる前にやるべきこと
目次 [CLOSE]
フリーランスとは
フリーランスとは特定の会社や団体には所属せずに、案件に応じて自由に契約をする働き方をする人を指します。
フリーランスは、個人で仕事を請け負うため全て自己責任で行う必要があります。一方で自由に仕事や働き方を選択できたり、単価の交渉も自信で行うため収入を自ら増やすことができるのもフリーランスの特徴です。
フリーランスと個人事業主
個人事業主とは、税法上の区分で税務署に開業届を提出し個人で事業を営んでいる人のことです。つまり個人事業主もフリーランスに該当します。
フリーランスになる前に知っておくべきこと
この項では、メリット・デメリットから税金や社会保険に関する基礎知識について解説しております。
フリーランスのメリット・デメリット
まず気になるのがフリーランスとして働く際のメリットとデメリットです。両方をしっかりと理解した上でフリーランスになるかどうかを選択しましょう。
フリーランスになるメリット
- 成果次第で会社員の頃よりも高収入を目指せる
- 時間や場所に捉われない働き方も可能
- 税金の負担を軽減することが可能
- 定年がない
- 出産や育児と両立がしやすい
成果次第で会社員の頃よりも高収入を目指せる
フリーランスは収入が自分の労力と比例するため、仕事をすればするだけ収入になります。
また、単価の交渉等を自ら行うことも可能なため、業界内で需要のある高い技術を身につけることで高単価案件の受注や案件の受注量を増やすことができるため、スキルアップをしていくことでも収入アップに繋げやすくなります。
時間や場所に捉われない働き方も可能
リモートの仕事やクラウドサービスで仕事を受注することによって時間や場所に捉われない働き方をすることも可能です。
税金の負担を軽減することが可能
フリーランスで税務署に開業届を出している個人事業主の場合は、青色申告による確定申告を行うことで、最大65万円の控除を受けることが可能です。
また、事業を営む上でかかる費用を経費として計上することが可能です。
定年や退職がない
会社員の場合には年齢により定年退職がありますが、フリーランスの場合には仕事ができる限りは年齢は関係なく仕事をすることが可能です。
出産や育児と両立がしやすい
出産や育児と仕事の両立は様々な困難があります。会社員で育休や産休を取ることができない場合や、保育園に入園できないため仕事ができない場合等で仕事を辞めなくてはいけない方もいるのではないでしょうか?
フリーランスの場合には職種や業務内容によりますが、比較的時間や場所に融通が効くことが多いため、フルリモートで仕事ができたり、育児をしながら普段より仕事量を抑えて仕事をする等も可能です。
フリーランスになるデメリット
- 収入を安定させるのが大変
- 社会的信用が低下する可能性がある
- 事務処理や確定申告等に手間がかかる
収入を安定させるのが大変
会社員であれば、退職するまでは毎月決まった金額の収入を得ることができますが、フリーランスの場合には仕事を受注しない限りは収入がありません。毎月安定的に収入を得たい場合には、安定的に仕事を受注する必要があります。
営業を代行してくれるエージェントサービスを使用すれば安定的に仕事を受注することが可能になります。
社会的信用が低下する可能性がある
企業に属していないためローンやクレジットカード、賃貸の審査に落ちてしまう可能性があります。会社員時代よりも年収が上がっていても社会的信用が会社員時代よりも低くなってしまう場合があることも頭に入れておきましょう。
しかし、フリーランスの人口も増加してきたため、フリーランス専用のクレジットカードやフリーランス加入できる協会や保険等の様々なサービスや制度もありますのでそれらを活用すると良いでしょう。
事務処理や確定申告等に手間がかかる
会社員の頃は会社が行ってくれていた事務処理や年末調整ですが、フリーランスは自身で事務処理や確定申告に時間を費やさなくてはなりません。
しかし最近では確定申告も会計ソフトを使用して容易にできるようになっております。
税金について
この項ではかかる税金について解説しております。
消費税
消費税は、商品やサービスの取引に対して課税される税で、消費者が負担し事業者が納付する税金です。
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます(注)。
(注)その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。
※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。
No.6501 納税義務の免除 | 国税庁
所得税
フリーランスにかかる税金の中で一番割合の高いのが所得税になります。
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
所得税のしくみ | 国税庁
課税される所得金額は以下の表を参照して下さい。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
個人事業税
個人事業税とは、地方税に分類され地方税法等で定められた事業に対してかかる税金です。
住民税
住民税とは、地方税の一種で都道府県民税と区市町村民税の総称で、地方自治体が公共サービス運営のために使われます。
フリーランスになる前にやるべきこと
フリーランスになるための手続き
開業届を提出する
まず新たに事業を開始する際には、所轄の税務署に開業届を提出します。
※事業開始等の事実があった日から1ヶ月以内までに提出。
詳しくは国税庁ホームページの[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続をご覧下さい。
国民年金に切り替える
会社員で厚生年金に入っていた方は、国民年金に切り替える必要があるため市区町村役場の窓口で手続きを行いましょう。
※会社の辞めた時期によって手続き方法が変わります。
詳しくは日本年金機構ホームページの会社を退職した時の国民年金の手続きにてご確認下さい。
国民健康保険に切り替える
国民年金と同様に、会社員の時に入っていた健康保険は切り替える必要があります。
※所属している健康保険組合に申し出することで、退職してから2年間は会社の健康保険の任意継続することも可能です。
○ 自治体の国民健康保険
住居のある市区町村役場の担当窓口にて手続きを行う。退職した翌日から14日以内が提出期限。
○ 健康保険組合を利用する
健康保険組合とは決まった職業の人が加入できる限定された健康保険です。ITフリーランスの場合には、文芸美術健康保険組合に加入できる可能性があります。
○ 任意継続被保険者制度
退職した会社の健康保険の任意継続をする制度で退職してから2年間使用可能。退職後20日以内に申請手続きを行う。
青色申告承認申込書を提出する
確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告をする場合には税務署への届出が必要となります。
青色申告と白色申告の違い
申告条件
青色申告の申告条件→税務署への青色申告承認申請書の届出
白色申告の申告条件→特になし
青色申告・白色申告それぞれのメリット
青色申告のメリット
- 青色申告特別控除(最大65万円の特別控除が受けられる)
- 青色事業専従者給与(税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで家族への給与が全額必要経費にできる)
- 赤字の場合には3年間の繰越が可能
- 少額減価償却資産の特例(一定の条件を満たすことで、30万円未満の減価償却資産は購入した年度内の経費として全額計上できる特例)
白色申告のメリット
- 開始に手続きが必要ない
- 青色申告より記帳が簡単
青色申告・白色申告それぞれのデメリット
青色申告のデメリット
- 申請書を届出しなくてはならない
- 複式簿記で記帳する必要があり、簡易簿記に比べて作成がやや複雑
- 年間所得が48万円以下でも申告しなくてはならない
白色申告のデメリット
- 特別控除を受けることができない
フリーランスになる前の事前準備
事業用のメールアドレスの取得
事業専用のメールアドレスを取得し、プライベートのメールアドレスとは分けて管理するようにしましょう。
名刺の作成
営業や取引先との顔合わせやミーティングのために名刺を作成しましょう。
SNSやポートフォリオの作成
集客や実績のアピールのためにSNSやポートフォリオは有用な手段です。
SNSは実績を発信しつつ同業者との交流も可能で、更にはSNSから仕事の依頼が来ることもあるため作成し発信しておいた方が良いでしょう。
また、ポートフォリオはあなたが何者でどんな仕事をしているかを知ってもらうことができるので作成することをおすすめします。
銀行口座の解説
青色申告を行う際の帳簿付けが楽になるため、私生活用の口座とは別に事業用の口座を用意しましょう。
会計ソフトを準備する(もしくは税理士と顧問契約を結ぶ)
確定申告に対応している会計ソフトを使用するか、税理士と顧問契約を結びましょう
会計ソフト
クラウド会計ソフトを利用すれば安いもので月額1000円前後で利用が可能で、口座やクレジットカードと同期できる他、クラウド上にデータを保存しどこからでも帳簿ができます。
税理士
クラウド会計ソフトを利用するよりは費用はかかるものの、基本的に全ての記帳をお願いすることが可能で、節税等の相談も柔軟にすることができる。
契約書や見積書・請求書等の必要書類の作成
伝票・見積書・請求書・納品書・各種契約書と仕事で必要な書類の雛形を用意しましょう。
その他、必要な機材や備品を用意する
仕事を行う上で必要なものをリストアップして重要度の高いものから順に揃えて行きましょう。
フリーランスの仕事獲得方法
最後に少しだけフリーランスの一般的な仕事獲得方法を紹介します。
営業活動を行う・知人からの紹介・人脈を広げる
フリーランスになりたてで仕事を得るためには、テレアポやメールにてアポイントを取り営業活動を行ったり、知人にお客様を紹介してもらったり、色々な集まりに顔を出して顔と名前と職業を覚えてもらうといった地道な努力も必要となってきます。
クラウドソーシングを利用する
いち早く仕事を受注するには多少報酬が安くはなりますが、クラウドソーシングを利用するのも1つの手です。
エージェントに登録する
フリーランスは仕事の受注が一番の課題になってきます。
安定的かつ継続的に仕事の受注をするにはエージェントに登録するのがおすすめです。
担当に希望の条件を伝えておくだけで、プロがあなたに合った案件をマッチング、サポートしてくれ、案件が終了する際にも、間が開かないように次の案件を事前に探しておいてくれます。
まとめ
フリーランスとしての基礎知識として、経費や確定申告についてはしっかりと理解しておくことがフリーランスとして活躍するための第一歩となります。